謝罪や反省すれば刑が軽くなるの?(弁護士 舛田正)

  • 2020.01.20 Monday
  • 09:24

刑事裁判で、被告人が、被害者に対する謝罪や、罪を犯してしまったことの反省を述べることがあります。

では、裁判官や裁判員に向かって、「謝罪」や「反省」の言葉を述べれば、それだけで刑が軽くなるのでしょうか?

 

結論から言うと、多くの場合、「言葉だけではダメ」です。

 

それは何故か。以下、ご説明します。

 

まず、謝罪についてですが、被害者にとっては、謝罪の言葉の内容どうこうより、受けた被害が少しでも回復されることが重要であることが一般的です。

 

したがって、例えば傷害罪であれば、傷害の治療費を支払っているか、詐欺罪であれば、だまし取った金額を弁償しているかなど、被害者が受けた損害がどれだけ回復されているかの方が謝罪の言葉よりも断然重要です。

 

損害賠償の努力をせずに、しかも賠償できる経済力等はあるのに、これをせずに土下座しようが号泣しようが、裁判官や裁判員にはまず響きません。

それどころか、「自分は何の負担もせずに、刑を軽くしようとする身勝手な人」と見られて、むしろ悪い情状と評価される可能性すらあります。

 

逆に、損害を賠償しようとできる限りの努力をしていれば、仮に全額賠償できなかったとしても、「真摯な努力」をしているとして、相当程度良い情状として評価されることが多いです。

例えば、被害者の損害は100万円ですが、被告人が自分の貯金を絞り出しても、金融機関や身内、友人知人から借金しても、どうしても80万円しか用意できなかったとします。

全額ではないので、被害者は示談してくれず、受け取ってもくれないかも知れません。しかし、今できる限りの努力をしたと評価されれば、「真摯な謝罪の意思がある」と評価され、良い情状とされることが多いでしょう。

 

 

 

反省の場合も同じで、裁判官は、「反省しています。もう二度とやりません。」という言葉だけでは、ほとんど評価しません。何故なら、起訴されて罪を認めている人なら、ほぼ全員同じことを言うからです。

「反省だけならサルでもできる」という昔のCMがありましたね(平成生まれの方はわからないかもしれませんね…。)。

 

裁判官や裁判員に評価してもらうためには、「犯罪に至った原因を分析し」「その原因を除去する対策を講じて実行している(あるいは実行できる体制が整っている)」ことを示す必要があります。

 

例えば、路上生活で、その日食べる物にも困って万引き(窃盗罪)をしてしまったという事件で、「反省してます。強い決意で、もう二度と万引きはしません!」と法廷で誓ったところで、路上生活から脱しないとほとんど意味はありません。

ですので、このようなケースであれば、生活保護を受給して住居と収入を確保するなどの対策を講じ、「もう食べる物には困らないので、万引きはしません。」と述べれば良い情状となるでしょう。

 

以上のとおり、「謝罪」と言っても具体的な行動が伴わないといけませんし、「反省」と言っても原因の分析・再発防止策が伴わないと説得力がありません。

 

また、上記で例示したように、具体的にどのような行動等をおこなえば良い情状として評価されるかは、事件の類型やご本人の状況によって異なります。

 

したがって、せっかくの「謝罪」や「反省」を無駄なものにしないためには、なるべく早く弁護士にご相談いただくことが肝要です。

 

示談や、反省に限らず、刑事事件のお問い合わせの際は、こちらからご連絡ください。

http://www.kp-law.jp/inquiry/index.html

刑事弁護のスタンダード(弁護士 佐々木良太)

  • 2019.12.27 Friday
  • 09:20

最近,「刑事弁護のスタンダード」について考えることがあります。

ここでいう「刑事弁護のスタンダード」とは,刑事事件を担当した弁護士の活動として一般的にあるべき水準というほどの意味です。

 

刑事弁護に関する代表的な書物には,次のようなことが書かれています。依頼者が犯罪事実を否定している場合はもちろん,そうでない場合も原則的に黙秘を勧めるべきである。黙秘を勧めた以上は少なくとも本人が捕まった当初は本人に毎日会いに行くべきである。捜査機関が作った供述調書に対しては,証拠とすべきではないという意見を述べるのを原則とすべきである。被告人質問はいわゆる先行方式を求めるべきである。法廷で事実を主張したり証拠を議論したりするときは,法廷の中心に立って,原稿を読まずに,裁判官や裁判員の方を向いて行うべきである。これらを行うことこそが,依頼者の利益を最も守ることになると。

私が弁護士になる前に入所していた司法研修所でも同じことを学びました。弁護士になってから受けた研修でも,同じことを学びました。

そして,北パブでも,先輩弁護士は当然のように上記の諸活動を基本としていました。

ですので,私にとっての「刑事弁護のスタンダード」は,上記の諸活動を基本とすることです。

 

しかし,世間一般的に上記の諸活動が当然のものとして行われているかというと,必ずしもそうではないのではないか,ということを最近思います。本人が犯罪事実を否定している場合でも黙秘の助言がなされないことが実際には珍しくはないということや,被告人質問の先行方式もなかなか求められない,ということをしばしば耳にします。また,自分が司法修習生のとき裁判所で傍聴した法廷を思い出してみると,私が見た弁護人はすべて,紙を手に持って,事実の主張や証拠の議論をしていました。

 

もしかしたら,あるべき「刑事弁護のスタンダード」と,実際の一般的な刑事弁護の姿とは,隔たりがあるのかもしれません。

 

私は来年から,あるべき「刑事弁護のスタンダード」が当然のように行われていた北パブを離れ,赴任地に赴任します。

北パブを離れても,「刑事弁護のスタンダード」を常に意識して,そこから目を離さず,まっすぐに向き合っていきたいと思います。そのために,日々の研鑽を怠らず,何が依頼者の利益に最も適うのか,ということを常に考え続けなければならないと思う今日この頃です。

少年事件が増加・凶悪化している?(弁護士 鵜飼裕未)

  • 2019.12.27 Friday
  • 09:18

民法の成年年齢を18歳未満に引き下げる法律が2022年4月に施行されます。

そして、現在、少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げることの是非が議論されています。

 

 

皆さんは、最近の少年事件についてどのようなイメージをお持ちですか?

 

少年事件が「増加している」とか「凶悪化している」という意見を目にすることがあります。

 

しかし、実は、少年事件は増加しても凶悪化してもいません。

 

むしろ少年非行は近年急激に減っています。

少年による刑法犯の検挙人員は、2004年以降減少し続けていて、2017年は、人口比の最も高かった1981年の約5分の1になっています(平成30年版犯罪白書第3編/第1章/第1節/1)

 

重大・凶悪な事件も減少しています。

例えば、殺人罪(未遂を含む)で検挙された少年の人数は、1961年が440人であったのに対し、2017年は51人で、人口の減少を考慮しても、大幅に減少しています(昭和37年版犯罪白書機檻僑撹宗∧神30年版犯罪白書3−1−1−6表)。

 

 

また、「少年法は甘い」という意見も聞きます。

しかし、実際には、少年手続きは、成人の刑事手続きよりも、厳しい面が多くあります。

 

まず、少年については「不起訴」がありません。

成人の犯罪では、検察官が、起訴するか否かを決めます。

起訴される事件は、全体の約3分の1です(平成30年版犯罪白書第2/2/3節)。

逆に言えば、全体の約3分の2が、裁判にかけられることなく終わります。

 

しかし、少年事件については、原則として全ての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。

成人と違い、裁判にかけられずに終わるということがほぼないのです。

 

 

また、罪を犯していなくても、その性格や環境からみて、将来罪を犯すおそれがある場合には少年事件の対象となります。

その場合に、少年院送致などの処分を課されることもあります。

 

このように、「少年事件」や「少年法」の実際は世の中の方がもつイメージとは必ずしも一致していません。

 

 

少年事件では、「要保護性」が審判の対象となります。

したがって、軽微な事案であっても、少年の性格や環境から、将来再び非行に陥る危険性が高いとされると、少年院送致のような重い処分にふされることもあります。

 

そこで、弁護士は付添人として要保護性を減少させるために活動します。

例えば、ご本人とご家族との関係を調整するお手伝いをしたり、就労や就学についての環境整備をします。

 

少年事件においても、出来る限り早い時期から弁護士のアドバイスを受けることが重要です。

まずはお気軽に当事務所にご連絡ください。

↓↓↓

北千住パブリック法律事務所「初めてご相談される方へ」

http://www.kp-law.jp/introduction/index.html

 

 

【参考文献】

日本弁護士連合会「少年法の適用年齢引下げを語る前に〜なぜ私たちは引下げに反対するのか〜」

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/shonen_nenrei_hikisage_pam_201706.pdf

 

あなたや、あなたの身近な人が、特殊詐欺の加害者に?(弁護士 酒田芳人)

  • 2019.12.04 Wednesday
  • 09:21

特殊詐欺、というよりも、「振り込め詐欺」とか、「オレオレ詐欺」と言ったほうが分かりやすいかもしれません。

 

主に高齢者を狙った、電話や手紙などを使った組織的な詐欺事件は、2000年前後から増え始め、今年(2019年)の上半期だけでも、全国で146.1億円の被害をもたらしたと言われています(警察庁の広報資料→
https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2019.pdf)。

 

皆さんも、テレビのCM、警察署や役所のポスターなどで、被害に気を付けるよう呼び掛けられているのをご覧になったことがあるのではないでしょうか。

 

我々の事務所では、刑事事件に力を入れているため、多くの弁護士が、この特殊詐欺の事件を担当したことがあります。

 

その経験の中から言えることは、皆さんは詐欺の被害者になる可能性だけではなく、詐欺の加害者にもなる可能性がある、ということです。

 

特殊詐欺というのは、組織的に行われる犯罪です。
関わっているのは、犯罪組織への出資者や、メンバーに指示をするリーダーだけではありません。
被害者からカードを受け取ったり、被害者のお金をATMから引き出したりするといった、末端のメンバーとして実行する人たちも含まれます。

 

そうして、人びとの中には、例えば、友達や先輩から頼まれたから、インターネットで割りの良いバイトがあるのを見つけたから、などと言った安易な気持ちで関わってしまう人も多くいます。
そして、最後には特殊詐欺のメンバーとして警察に逮捕されてしまうという例も、決して少なくないのです。

 

自分は被害者を直接騙していない、重大な犯罪だとはハッキリ分からなかった、という言い訳は、ほとんど通りません。
これを、刑法の理論では、「共謀共同正犯」と言います。
特殊詐欺に関するものだけでも、最高裁の判例がいくつも出されています。
そして、先ほど述べたような、安易に関わってしまった末端のメンバーに対しても、非常に厳しい判断が下されています。

 

皆さんが、詐欺の加害者にならないようにすることはもちろんです。
しかし、万が一、あなたや、あなたの身近な人が、詐欺に関わってしまった場合、すぐに弁護士に相談するようにしてください。
そこから、警察や、被害者の方に対して、どういう対処をするのが最も良いか、弁護士と一緒に考えましょう。

【配偶者居住権と跡継ぎ遺贈型受益者連続信託】(弁護士 國井敏明)

  • 2019.11.14 Thursday
  • 09:29

平成30年に相続法が改正され、新たに配偶者居住権の制度がつくられました。

令和2年4月1日から施行される民法1028条1項には、次のように定められています。

 

「被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この説において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。

一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。

二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。」

 

配偶者居住権の存続期間は、遺産分割協議・遺言・家庭裁判所の審判に別段の定めがなければ、配偶者の終身の間とされています(民法1030条)。

また、配偶者居住権の設定の登記を備えることができ、登記を備えた場合は第三者に対抗できます(民法1031条)。

 

配偶者居住権の制度によって、例えば遺産分割の際、配偶者が低廉な価額で居住権を確保できるといわれています。つまり、遺産分割の際、遺産の1つである建物に引き続き居住するためその所有権を取得するとなると、自己の法定相続分を超える建物の価額について、他の共同相続人に代償金を支払う必要が生じるかもしれないからです。

とはいえ、例えば父親が亡くなり、母親と実子との間で遺産分割をする場合であれば、代償金なしに母親に不動産を相続させ、母親の取り分が法定相続分より多くなったとしても、誰も文句を言わないかもしれません。不動産は、2回の相続を経て子の世代に承継されますが、夫婦の間で財産を相続したときの相続税は配偶者の税額軽減制度をつかえ、小規模宅地の特例もつかえるかもしれないので、相続税の点でも不利益のないケースが多そうです。

 

そうだとすると、配偶者居住権が活躍する場面はそれほど多くなさそうでしょうか?

 

典型的な活躍の場面として考えられるのは、実子のいる高齢者が再婚した場合です。

例えば、父親が再婚したケースで、父親が亡くなった後、再婚相手に父親の不動産を相続させると、再婚相手が亡くなった後は再婚相手の相続人のものになってしまいます。しかし、例えば先祖伝来の不動産を、赤の他人の手に渡すわけにはいかないかもしれません。

このような場合は、配偶者居住権の制度を活用し、再婚相手は配偶者居住権を取得し、所有権は実子が取得するのがいいかもしれません。

 

ところで、配偶者居住権の制度ができる前は、実子がいて再婚した高齢者の相続のケースを、あらかじめうまく解決しておく方法はなかったのでしょうか?

これについては、「跡継ぎ遺贈型受益者連続信託」を利用することで、従前から類似の法律効果を得ることができました。

「信託」とは、信託契約の締結などの信託行為によって、受託者が信託財産について財産権の移転を受けた上で信託目的に従って信託財産の管理・処分などを行い、その管理・処分にともなう利益について受益者に債権的な請求権を取得させる制度です。

 

そして、「跡継ぎ遺贈型受益者連続信託」を利用し、次のようなことができます。例えば、実子のいる高齢者が再婚した場合なら、まず、不動産を所有する高齢者自身が、当該不動産を信託財産とする信託の委託者 兼 第1次受益者となり、同人の死亡を終期とする受益権を取得します。受益権の内容は、信託不動産を生活の本拠として使用する権利です。次に、第1次受益者が死亡した時点で、再婚相手を第二次受益者として、第2次受益者の死亡を終期とする受益権を発生させます。そして、再婚相手が死亡した時点で、実子を第三次受益者とするか、信託を終了させて実子を信託財産の権利帰属者とします。これらを、信託契約にあらかじめ定めておきます。

このようにすれば、先祖伝来の不動産は、所有者の死後、再婚相手が亡くなるまでは再婚相手が使用する権利を持ちますが、再婚相手が亡くなった後は実子に権利が戻ります。

 

それでは、類似の法律効果が得られると考えられる、遺言によって配偶者居住権を遺贈することと、跡継ぎ遺贈型受益者連続信託は、どのような違いがあるでしょうか?

やはり、大きな違いは、信託は、「受託者」が登場しなければいけないことでしょう。信託は、信託財産の所有権が、受託者に移転します。ただし、受託者は、信託の利益を享受することが禁止されています(受託者が、受益者を兼ねることはできます。)。受託者は、ただ受益者のために、信託財産の管理・処分などを行うのです。民事信託では、信頼できる親族等に、報酬なしに受託者になってもらうことが多いようです。ちなみに、業として信託の引受けを行うには免許又は登録を必要とするため(信託業法3条、7条)、弁護士が受託者になるのは難しいとされています。

 

受託者が信託財産を管理することにともなって生じる違いのほか、税金がどうなるかも大きな問題です。信託を利用するのが適したケースは多くないかもしれません。しかし、信託が適したケースももちろんあるでしょうから、現在、民事信託の利用が非常に増えていることも考えると、検討する必要のある選択肢の1つといえるかもしれません。

 

(なお、信託は、財産の管理と承継のための制度といえます。以上のとおり、配偶者居住権を遺贈する遺言に代えて、財産の承継のため利用できるだけでなく、財産管理の制度でもあることから、成年後見制度に代えて利用することも検討できます。その際、信託財産の管理・処分を受託者によって柔軟に行うことができ、裁判所の関与がほとんどないこと等が、信託の長所といわれています。)

 

信託の相談は北千住パブリック法律事務所まで。

http://www.kp-law.jp/

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